病患者からの問診で疑った「病気」がないかを重点的に診察します。
視診・触診・聴診・打診…、医師の五感を駆使した観察が行われます。
その症状が具体的にどの程度か、それ以外の随伴症状がないかを確認していきます。
診察で異常が見つかった場合には、その異常の客観的評価の為に検査を行います。
医師の診察でのポイント
患者からの問診で疑った「病気」がないかを重点的に診察します。
視診・触診・聴診・打診…、医師の五感を駆使した観察が行われます。
その症状が具体的にどの程度か、それ以外の随伴症状がないかを確認していきます。
診察で異常が見つかった場合には、その異常の客観的評価の為に検査を行います。
医師の診察でのポイント医師の診察は、「systemic
review」といって、全身を頭の先から足の先まで、くまなく診察するのが一般的とされていますが、忙しい外来ですべてをこなすのは困難です。実際に
は、患者からの問診で得た情報を元に、異常のありそうな箇所を重点的に診察します。
たとえば、おなかが痛いという患者さんは、腹部の診察を中心に進め、咽喉の奥を観察したりとか、筋肉を叩いて神経の異常を調べたりなどということはあまりしません。
診察で異常を発見したら、その箇所をより客観的に評価するために、さまざまな検査を行います。
診察とは、患者の訴えから異常を見つけ出し、必要と思われる検査を実施して、より客観的な診断の根拠を得るための重要なステップなのです。
診察で指摘されることの多い「異常所見」は灰色で示してあります。該当した人はあとで
「症状ガイド」をチェックしてください。今後の検査・治療の方針をまとめてあります。
診察室で、あなたの診察が始まりました。
1 視 診
視診とは、「目で診察すること」です。何の道具も必要ありません。
医師はまず、診察室に入ってくるあなたの姿勢・歩き方を観察します。
【骨格が異常】
【運動神経・筋肉に異常がある】
次に椅子に座ったあなたの表情・顔色・目の色を観察します。
【栄養状態が悪い】【貧血がある】【黄疸がある】【表情が異常】
次に医師は、あなたに口を開けるように言います。
【のどが炎症を起こしている】【脱水状態である】
2 触 診
次に医師はあなたの身体に触ります。
首にはリンパ節や甲状腺などの臓器がつまっています。これらの臓器が腫れていないかチェックします。
【リンパ節が腫れている】【甲状腺が腫れている】
また、おなかを触ることで、さらに重要な情報が得られます。
正常なおなかは軟らかくて平らです。また体表から臓器を触ることができません。
臓器が腫れてくると、身体の上から触ってわかることがあります。
【肝臓が腫れている】【脾臓が腫れている】【腹水がありそう】
また手足を触れば、身体の水分の大まかな量がわかります。
【脱水状態である】【むくみ(浮腫)がある】
3 聴 診
さて、ここで「聴診器」の登場です。
この器械で体内の微細な音を聞くことができるのです。
胸の聴診では心臓・肺・気管の音を聞くことができます。
【心雑音がある】【不整脈がある】【呼吸音が異常】
おなかの聴診では、腸や動脈の音を聞くことができます。
【腸の動きが異常】【血流の音が聞こえる】
首や太ももの付け根で動脈の音が聞こえることがありますが、これは動脈硬化が進行したサインです。血管雑音といいます。
【血管雑音が聞こえる】
4 打 診
おなかや胸を「トントン」と叩く診察を打診といいます。
叩いたところのすぐ下に、なんの臓器があるかによって音が違います。
下が空気(例えば肺や、腸(腸にはガスがいっぱいある))の場合、太鼓のような音が聞こえます。これを鼓音と呼びます。
下が肝臓・脾臓・心臓など、空気のない臓器の場合には、濁音と呼ばれるくぐもった音が聞こえます。
身体の表面から、臓器のおおまかなサイズや分布を知ることができます。
【肝臓が腫れている】【脾臓が腫れている】【心臓が大きい】
また、胸水や腹水がたまってくると、音が違って聞こえます。
【胸水がたまっている】【腹水がたまっている】
もっとも、これらの情報は、レントゲンや超音波検査など安全・簡単・正確に知ることができるようになったため、今や「無形文化財」となりつつあります。
筋肉や腱を叩くと、ピクンと反射が起こりますね。
これを腱反射といいます。
打腱器という専用のハンマーで筋肉や腱を叩いて腱反射を見ることで神経や筋肉の異常を調べることもできます。
【運動神経・筋肉に異常がある】
これはまだまだ現役の重要な診察技術です。
5 直 腸 診
ここから先は、普通の診察では行うことはあまりありません。
ただ、大掛かりな器械を使わずに気軽に所見がとれる、重要な診察方法です。詳しくは、各論で触れる事にして、ここでは指摘できる所見だけ示しました。
【前立腺が腫れている】【直腸に腫瘤がある】